これはもう
皆さん御存じのとおりでありますけれども、国際的な枠組みができていまして、
気候変動枠組条約というものが192カ国で締結されていまして、
温室効果ガス濃度を
気候システムに対して危険な
人為的干渉を及ぼすことのないような水準に安定化させるといった目標のもとで今から10年以上も前に
京都議定書が採択をされて、先進国全体で1990年比で少なくとも5%削減をすると。日本に関しては
マイナス6%の削減の約束をこの場で行ったということであります。
これがその今の世界での
排出量ですけれども、ちょうどその2007年から中国が
アメリカを抜きまして、今世界一の排出は中国が世界一の排出国ということになっています。日本はそういった意味では6位ぐらいなんですけれども、非常に
排出量が多い国の一部となっています。これを見ていただきますと、先進国がこれまでは多かったんですけれども、今後は
途上国のCO2
排出量がどんどんふえていくと。そういった中で今後の国際的な
枠組みづくりに当たっては
アメリカはもちろんのこと、中国、インドというふうな
途上国をいかに巻き込みながら
取り組みを進めていくかということが課題になっているということであります。
これは我が国の
温室効果ガス排出量なんですけれども、基準年1990年なんですが、それから
経済発展もあり、どんどん
排出量がふえてしまっていると。90年に比較して9%ほどふえていますから、合計としては15%程度の削減をしなくてはいけない。昨年から
京都議定書の
約束期間が始まっていますので、いかにこの
排出量を減らしていくかということが今の環境問題の最大の課題になっております。
CO2の
排出量が非常にふえているわけなんですが、これがどういう部門からの
排出量がどの程度出ているかということを示したものです。この図を見ますと、
産業部門、工場からの
排出量が非常に多いんですが、ただ、非常に企業においては
省エネの
取り組みもしていただいておりまして、90年から比較して減っております。ただし、2010年までには
マイナス10%程度減らしていただく必要があるというふうな状況になっています。
一方で、
運輸部門、自動車、運搬、船舶とか、または家庭というところではどんどんふえてきておりまして、例えば
運輸部門でありますと14.6%、また家庭でありますと41%という形で非常にふえております。特に家庭からのCO2は規制で
排出削減が非常に難しいものですから、さまざまな
取り組みもしていく必要があるんですが、非常にふえていると。そういった中で、いかに減らしていくかということが課題になっています。
これがその国全体の
排出量の内訳です。
産業部門からのものが多くを占めています。こちらの工場からの
排出量は減っているんですけれども、運輸であるとか、または商業、
サービス、デパートとかスーパーとか、そういった
業務部門からのCO2がふえていると。
仙台につきましては、特に
運輸部門等がこの国の割合と比較して
運輸部門のCO2の
排出量が多いというふうに聞いています。
あと家庭です。家庭もどんどんふえてきているんですけれども、家庭での冷暖房とか給湯とか、運輸とかもそういった部分がこれぐらい占めているということです。こういったCO2をいかに減らしていけるか、ただし同時に
経済発展もしながら減らしていけるかというところが課題になっているということであります。
そういった観点から、国の方では
京都議定書目標達成計画をつくりまして、さまざまな
取り組みをしております。ただし、基本的には自主的な事業者の
取り組みでありますとか、こちらの税金を投与した
補助金等の
取り組みが中心になっておりまして、国際的には
排出量取引とか環境税とか、そういったものが導入されているんですけれども、まだ日本としては
取り組みとしてはこういった
取り組みはこれからということになってきます。
きょうは
国内排出量取引の話を少し具体的にさせていただければと思っています。
総選挙の方で民主党が与党になるということなんですけれども、彼らは
排出量取引を国の制度として入れていくというふうなことを言っておりまして、今後
一つ温暖化対策としての大きな柱になり得る制度ではないかというふうに思っています。
国内排出量取引ですけれども、日本においても可能な範囲でのさまざまな
取り組みを今までしておりまして、その
取り組みについて御紹介をさせていただければと思っています。
もう御存じの方も多いかとは思いますが、この
排出量取引の意義というのは、
企業Aと
企業Bがいて、
企業Bの方が安い費用でCO2を削減することができる、まだまだ
省エネが進んでいなくて何らかの機械を入れればすぐ
省エネができる、一方で
企業Aの方は既にさまざまな
省エネの
取り組みに取り組んでいて、これ以上減らすのはなかなか大変だといった事業者がいるという状況の中で、一律に減らしていくということだけでは企業に非常に負担がかかってしまうということで、両方とも頑張ってもらうんですけれども、
企業Bがみずから減らさなくてはいけない量よりもさらに減らすことができた場合には、その減らしたものに対する権利を
企業Aが買ってくると。
企業Aがみずから減らしたものとみなすというふうな、排出をすることの権利を売買すると。そういったことによって、
企業Aがみずから投資をして削減するよりも
企業Bが削減に要した費用を購入することの方が安くつくと。
企業Bにとってもこの権利を売ることができますから、経済的なメリットがある。こういったことによって社会全体のコストを少なくしながらCO2を効率的に減らしていくというのが
排出量取引の
仕組みであります。
こういった
仕組みは、現在EUの方では政府の方で削減する量を企業に設定をして削減するという
仕組みを導入をしていますし、
アメリカまたはオーストラリアでも
排出量取引の制度が始まろうとしている、そういった状況になっています。
環境省としては平成17年度から日本型の
国内排出量取引の
仕組みを導入しています。EUがやっているものはもう国としてこれだけ減らさなくてはいけないので、その減らす分をもう割り当てて、ある意味強制的に各企業に減らす方向に持っていっていただくというふうな
仕組みなんですけれども、いきなりそういった
仕組みを入れることは難しいため、自主的にCO2削減に
取り組みたいという企業を募りまして、そういった企業がみずから
削減目標を定めて
排出枠というものを設定をするというふうな形のボランタリーな自主的な
排出量の
取り組みの制度を入れています。
これも当初イギリスで始まった
仕組みを日本型にしているものなんですけれども、A社、B社とも自主的に参加をいただくと。参加いただくときにどれぐらい削減するかという量についても自主的に決定をしていただくと。A社はみずから設定した削減に対して、みずから取り組んでも構わないし、この
システムに参加しているほかの社が減らしたもの、ほかの社が設定した
排出量よりも減らしたものを買ってくる、
排出量取引をすることによって目標を達成する。そのどちらでも構わないんですけれども、A社がみずから設定した
排出枠まで削減をすることができれば、その削減の要した費用を
環境省が補助するというふうな
仕組みです。
ですから、企業にとってはある意味損することがないというふうな
仕組みですけれども、みずから設定した目標に対してみずから減らすか、他者が減らした分を買ってくることによって目標を達成すれば
補助金を出す、そういった企業にとって参加しやすい形での
排出量取引の
仕組みを導入をしまして取り組んでいます。これまで279社が参加をしまして、
基準年度排出量の25%に相当する量が削減されております。
こういったことをやってきたわけなんですけれども、昨年からは福田元首相、
麻生首相のもとで
国内統合市場ということでの
排出量取引を試行してきました。一つはこちらの
仕組みで、企業が自主的に参加をする、そして
削減目標を設定をする、その達成を目指して
排出削減をする、そういった
仕組みです。
環境省との違いは、削減したとしても
補助金はもらえないということでありますけれども、あくまでも自主的に削減をする。ただし、
自主削減であっても
自主行動計画という企業が定めている計画と整合的な形でしていただくということです。
そういったものと、もう一つは、こういった
取り組みをするのは基本的に大企業だけですので、国内の
中小企業と大企業が連携をしてする
仕組み。これは
中小企業が何らかの
排出削減をすると、それに対して大企業が技術や資金を提供する、それによって減った分は大企業が減らしたものとするというふうな、大企業と
中小企業との間での
排出削減のクレジットの
仕組みです。そういった交換の
仕組みも含めて取り組むというふうな形のスキームを導入をしています。これに関しては主要な企業含めて521社が参加をして
排出量取引を進めているというふうな状況になっています。こういったことをベースにこれから新たな
仕組みが検討されていくことになるんではないのかということであります。
ここで幾つか国の
取り組みの中でも
地域レベルでもやっていただける可能性のある
取り組みについて幾つか御紹介できればと思っていますが、先ほど申し上げた家庭でのCO2が非常にふえていると。そういった中で、なかなか規制が難しいということで取り組んでいるものが
エコポイントであります。今
グリーン家電の
エコポイントは非常に広がっていますが、その
グリーン家電の
エコポイントをやる前に
環境省として進めていたものはこのエコ・
アクション・
ポイントというものであります。
このエコ・
アクション・
ポイントというものは、
省エネ家電だけではなくて、
省エネ型住宅設備とか地産地消型の食品であるとか、
省エネ型のホテルであるとか、さまざまな日常の生活の中でCO2削減に資する商品、
サービスを買ってもらったり、または電気、ガスを節約をすると
ポイントがたまって、その
ポイントがさまざまな商品に交換することができるというふうな、
ポイントのエコ版みたいな
取り組みであります。
ちょっと幾つか
地域レベルでやっている事例を御紹介をしたいと思いますが、これは昨年度の
モデル事業として進めたものですけれども、北海道の富良野というところで
地域ぐるみのCO2削減の
取り組みを進めるものであります。これは、商店街で
エコ商品を買うとか、
マイバッグを持っていくとか、
簡易包装をするとか、また、飲食店で
マイはしを持参するとか、残さず完食をする、または地産地消のメニューをする。または、ホテルで
連泊ベッドでベッドメーキングなしとか、または
アメニティーグッズを断るとか、こういった小さな
エコ活動を消費者がすることによって
ポイントがもらえると。
その
ポイントがたまると500円分の
買い物券としてこの地域の中で使える。または、環境に優しい還元の仕方で、例えば
環境学習を体験できる、そういった活動に参加すると700円分の
チケットとして使うことができる。こういった
仕組みを商店、飲食店、
ホテルぐるみで取り組むと。
これは
富良野市民だけではなくて、観光客も含めて参加できるような、そういった
仕組みとして地域の商店街を活性化しながら、これによって地域の商店になるべく行っていただくというふうな、そういった商店街の活性化をしながら市民の小さな
エコ活動を推進をしていく。そんな
取り組みを支援をしているという
取り組みであります。
それから、もう一つの
取り組みが京都府の
取り組みであります。京都府の方は物を買うというよりも
省エネ行動を進めるということがメーンになっているんですけれども、市民の皆さんに頑張って電気、ガスの使用量を削減をしてもらう、または
太陽光発電等の設備を買ってもらう。そういったことによって環境に優しい行動をすると。
それによって
ポイントがもらえるんですが、京都の
仕組みがおもしろいところは、京都の企業に参加をしていただくと。その京都の企業はどうやって参加するかといいますと、京都府の条例で京都府の企業はCO2を削減をしなくてはいけないという義務があります。そのためにこれだけみずから削減しますというふうな計画を京都府の方に出すことになっているんですけれども、この事業に参加をして
ポイントの原資、お金を支払えば市民が減らしたCO2を買ってくると。京都府の中での
排出量取引みたいなものなんですけれども、京都の企業がお金を出して市民が減らした分のCO2を買ってくると。それは京都の企業が京都府に
排出量の届け出をする際にその分を削減をして報告することができるというふうな、そういった仕掛けです。そういった仕掛けを設けています。
京都府の方に1年間
取り組みをして状況を聞いたところ、京都の企業は非常に熱心に参加をしてくれて、この参加の30社は一気に集まってしまった。むしろこのCO2削減に取り組む市民を募集する方が大変だった、そんなことを言っていましたけれども、市民と企業と京都府との連携で、市民も得をしながらCO2削減をしながら、企業もみずから削減するだけではなくて、
地域貢献をしながらCO2削減ができる。そういった非常におもしろい仕掛けをしています。ことしはそれを京都だけではなくて、大阪または兵庫の市民も参加できる仕掛けにしていきたいと非常に意欲的に取り組んでいるところです。
これはちょっと少し細かく書いていますが、さらに全国的に通用できるエコ・
アクション・
ポイントも導入していまして、それにも参加しています。したがって、京都の市民は全国で流通しているエコ・
アクション・
ポイントの商品を買っても、
省エネ行動をしても、
太陽光発電を買っても
ポイントがたまって、その
ポイントは共通にいろいろな商品に使うことができる。そんなおもしろい仕掛けを導入をしています。
それからもう一つ、
地域レベルで最近注目がされている
取り組みとして
カーボン・
オフセットの
取り組みを御紹介をできればというふうに思っています。
カーボン・
オフセット、今いろいろなところで
カーボン・
オフセット商品ということでいろいろな企業が売り出していますが、この
カーボン・
オフセットは自分が減らすことができればいいけれども、なかなかそれができない場合に他人、この場合は
途上国が減らしたCO2をある
意味お金を払って買ってくることによってみずからが減らしたものとみなす、そういったものです。
今広がっているのは、いろいろな商品を買うときに少し上乗せをしてお金を支払うことで、例えばこの例はあれですけれども、飛行機で
オフセット型の
チケットを買えばその飛行機で移動するときにかかったCO2
排出量に相当する部分のどこかで減らした
排出量を一緒に買ってくるということによって、自分は飛行機に乗ってもCO2排出には貢献しなかったことになる。そういった
仕組みです。そういった仕掛け、
カーボン・
オフセットというものが最近非常に注目を浴びています。
こういった
カーボン・
オフセットの
仕組みがいろいろな地域、
自治体レベルと企業なり
NGO等の連携によって
取り組みが始まっていまして、
環境省としてのこういった
仕組みを応援をしているところなんですけれども、これは高知県の事例で、高知県の方で間伐材が問題になっていると。この間伐材がなかなか使われないということなんですけれども、その間伐材を運んで
住友大阪セメントのボイラーで利用すると。それによってCO2を減らすことができるんですけれども、そういった高知県と
住友大阪セメントが連携することによって初めて可能になるCO2量があるわけですけれども、そういったものを
カーボン・
オフセット事業を進めていくというふうな
取り組みが始まっています。
こんな形でさまざまな
取り組みが展開されています。
京都議定書は6%を2012年までに削減するということなんですが、先ほど申し上げたとおり、2050年、中長期的な視野に立つと60%から80%削減をしていく必要があるというふうなことであります。
これはちょうどその1週間ほど前に
斉藤環境大臣が80%削減をする
ビジョン、日本において2050年に80%削減することは可能なんだといった
ビジョンを提示をしたものであります。
この
ビジョンの中では
二つシナリオを描いていまして、一つは
ビジョンAということなんですけれども、
経済発展をしながら1人
当たりGDP成長率2%を保ちながら、さまざまな
技術開発をして高品質な
物づくり、それから革新的な技術を開発をして、ただし都心部に人口、資本の集中が進むという、そういった前提でのそういった
ビジョンでいかに減らしていくか。
それから、
ビジョンBとしては
地域重視、
自然志向ということで、ゆとりある生活を求めて都心から地方への人口と資本が分散化する。1人当たりの
GDP成長率は1%。活気のある
地方都市、分散型のコミュニティーをつくりながら自給自足、地産地消、各都市のユニークな魅力を高めながら進めていくと。各地域では食料だけではなくて
自然エネルギーも進めていくと。こういった
ビジョンを描いています。
このどちらかの方向であっても80%を削減できるという
シナリオを立てていまして、そのためにはこういったことをしなくてはいけないということを整理をしています。例えばこの
再生可能エネルギーで見ると、
エネルギー供給に占める割合は
技術指向型だと28%、
地域重視型であると40%減らす必要がありますし、太陽光も2005年の120倍から140倍、または
風力発電も非常にふやしていく必要があるというふうなことですし、自動車も
電気自動車100%にしていく必要がある。そういったことではあるんですけれども、こういったことのために着実にこれから施策を進めていく必要があるんではないか、そんな議論を国の方ではしているところであります。
こういった形で国の
取り組みをざっと御紹介したわけですが、ここからは少し私の個人的な見解も交えて、仙台の方でも参考にしていただければという思いも込めて、地域の環境、人、経済を元気にする
自然エネルギーの
取り組みを簡単に御紹介をしたいと思います。
先ほど御紹介いただきましたとおり、私は今から五、六年ほど前
経済産業省の
資源エネルギー庁の方に出向していまして、そこで新
エネルギーの政策を担当していました。その中で、
経済産業省が推進していたものは
経済合理性の高い
自然エネルギーだったわけです。地域に対しても
補助金を出して、大規模な1,000キロワット、2,000キロワットまたは1万キロワットの
風力発電とか
太陽光発電とか、この仙台でも太陽光の
メガソーラーとか、そんな実験もしていますけれども、比較的大規模で
経済効率性の高い
自然エネルギーの
取り組みを進めていました。
一方で、そういった
取り組みを見ながらも、それは
経済産業省の中でも課題でもあったんですが、自治体が中心に取り組んだ少し大規模型のものは、地域の中で十分な知見があればいいんですけれども、幾つかの案件では回らない風車とか、発電しない太陽光とか、そういった幾つかのある
意味失敗事例も出てきていました。
そういった中で、
企業ベースで大規模なものをやっていくというのは一つの方向性としていいんだけれども、その地域の中で
自然エネルギーをやっていくというときには、私としてはそういった
経済合理性だけではなくて、
自然エネルギーが持っている魅力を使って環境、人、
経済自身を元気にする、そういった形の
取り組みができるんではないか、そんな事例も同時に出会うことができました。
そんな
取り組みをちょっとこんな本で個人的な形でいろいろな事例を取材させていただいて本にまとめているんですけれども、ちょっとその中から幾つか事例を御紹介をしたいというふうに思っています。
まず、私自身は
自然エネルギーにすばらしい魅力があるというふうに思っています。この
自然エネルギーというのはCO2削減に資する
再生可能エネルギーということ、また
地球温暖化防止、大気汚染のない環境に優しい
エネルギーということだけではなくて、国産、地域、地域というのは企業だけではなくて、1人1人の市民がつくろうと思ったらつくることのできる分散型の
エネルギーでありますし、だからこそ地域の雇用もつくり出しますし、地域の魅力をつくり出す、そういった可能性を持っているものなんではないかというふうに思っています。
そういった視点からちょっと幾つか事例を御紹介をしたいと思います。
一つ目は野洲、これは滋賀県の野洲というところの小さな町の
取り組みです。
自然エネルギーを使いながら商店とコミュニティーを活性化するといった
取り組みです。ざっと概要を説明した後にどういうふうにこれができたのかということをお話ししたいと思いますが、ここでは商店、コミュニティー、そして市民がみんなが得する
仕組みを考えようという、そういった中で出てきた
仕組みです。
野洲は、地域通貨すまいるという形で、1,000円分で1,100円分の
買い物券に使える
チケットを販売をします。この1,100円分で買えるのは野洲でとれた農産物または野洲でとれたものを加工するもの、または、その地域の中のサークル活動とか地域の活動団体が参加することができます。この1,100円分の
チケットはこのお店で使うことのできる地域通貨として使われます。この地域通貨1,100円分の売り上げは、市民共同発電所ということで市民が出資をする太陽光の発電所の設置に使われます。この1,100円分全部が使われるわけなんですけれども、ということは結局お店の中でこの1,100円分は負担をしているんですが、お店にとってはこれによってお客さんが来てくれるということと、この地域通貨の使い方も割引で使うケースもあれば、お店で何らかのプレゼントをあげるというケースもあれば、そこはお店の判断なんですけれども、お店にとってお客さんが来てくれるということで、この1,100円分はお店がある意味負担をするという形にはなっています。この1,100円分を集めて
太陽光発電。この
太陽光発電もリサイクル、1回使った
太陽光発電を皆さんが手づくりで市民が設置をする、それも非常にわかりやすいまちの中で設置をする。そういった形の市民の手づくりの
取り組みであります。
こういった
仕組みですけれども、こういった
仕組みをどうやってつくっていったかということなんですが、この野洲の中で農業をやっている人たち、それからビジネスマン、そういった方々がみんなが得する
仕組みというのは何なんだろうということを徹底的に話し合って、そういった中でお店としてはお店に人が来てほしいし、市民は
太陽光発電をふやしたいし、そして市民団体にはどんどん自分たちの団体にメンバーをふやしたいし、そういったそれぞれの思いを実現できるような
仕組みは何だろうかという議論を。その際には市役所の職員もかかわっていまして、市役所の職員はお金は全く出さないんだけれども、調整役としてコーディネーターとして議事録をとったりとか、または若干対立しがちな市民の方々がうまくいくようにそれぞれの不満を聞いたりとか、そんなコーディネート役として市役所の人が入って地域の関係者がいろいろ議論する中でこの
仕組みができ上がっていたと。
この参加できるのは非常においしいような野洲でとれた農産物を販売するところがメーンになっていますし、地域の環境保全とか地域の福祉の団体とかが入っていますので、その野洲の魅力を発見できるような、そういったグループになっているわけです。この活動自身は参加者自身が考えて発展をさせるといった形をとっていまして、今進めているのは商店街が自分のところにいるだけではなかなかお客さんは来ないので、お客さんがいるところまで出かけていくすまいる市というものをやっているんですけれども、この事業に参加しているお店の農産物を一つのトラックに乗せて、それを地域のお客さんがいるところに出かけていって地域通貨を使うことができるというふうな
取り組み、これも市民とビジネスマンがどうやったらお互い得するかということを考えて編み出した仕掛けです。
こういった形で
自然エネルギーは一つのツールではあるんですけれども、
自然エネルギーという一つの魅力を使って地域の商店を活性化する、または地域のいろいろな関係者がつながっていってネットワークをつくっていく。ここの図もそうなんですけれども、決して
自然エネルギーの推進という図ではなくて、地域の人たちがどういうふうに、どんな活動をしているのか、地域の人たちがつながっていくようなことがベースになっているんですけれども、そういった地域の人がつながり、ビジネスが元気になっていって
自然エネルギーをふやしていくといった
仕組みとして野洲では試みられています。
それから、次の事例なんですけれども、これは埼玉県小川町というところです。この小川町というのは東京から1時間ぐらいのところで、東京に通う人たちの郊外的な、新興住宅街もありますし、農業をやっている人たちもいらっしゃるところなんですけれども、有機農業を頑張ってやる方々たちが何人かいらっしゃって、その有機農業をやっている人たちが中心となってバイオマスとか
太陽光発電とか、そういった
自然エネルギーの
取り組みが進んでいます。
小川町としてつくり出したおもしろい
仕組みはこの図なんですけれども、まず一般家庭から生ごみが出ます。この生ごみは通常焼却場で燃やされているわけなんですけれども、この生ごみを集めてバイオマスプラントをつくります。これは地域のNPO団体がみずから手づくりでバイオマスプラント、バイオマスプラントも買って購入すれば数千万円から数億円するものなんですけれども、その構造としては至って簡易なもので、メタン発酵ができる仕掛けになっていれば構わないんです。ですから、そのプラントをみずからNPOの人たちが地域にある材料を使ってつくると。そうすれば数百万円、五、六百万円ぐらいでできるというものであります。
この生ごみを集めてメタン発酵すると、バイオマスと液肥が出てくるんです。この液肥というものは非常に使い勝手のいい速効性のある肥料ということで、生ごみを堆肥化をしてつくるよりも非常に使いやすい肥料らしいんです。この肥料を使って地域の農家で有機野菜をつくってもらう
仕組みです。一般家庭は生ごみを出すときに地域通貨をもらえる。その地域通貨は生ごみを使ってできた液肥を活用して生産された野菜の農作物を得るのに使える。地域通貨で野菜がもらえるというモデルです。
こういった仕掛け、地域通貨の原資は町が出しています。この町が出す理屈としては、生ごみを焼却しなくて済むということで焼却のコストが浮いてきますので、そういったことで地域通貨の原資は町が出しているという仕掛けです。これは家庭とNPOと農家が連携をすると。それぞれが連携をしながら、それぞれ得をしているんです。家庭にとっては生ごみを出すだけで野菜がある意味ただでもらえると。NPOにとっては生ごみを集めて液肥とバイオマスがつくれると。生産農家にとっては非常に使い勝手のいい液肥を手に入れることができるし、一般家庭の方に農作物を食べてもらうことができる。そういった非常にそれぞれにとってメリットがあって回っていく仕掛けというものをつくり上げています。
私自身は小川町には10年前ぐらいから個人的にもつき合いをさせていただいていまして、この
取り組みを発展させるためには10年ぐらいかけてやっています。最初は本当に個人レベルで有機農家さんが自分のところの牛や鳥から出てくるふん尿をどうするかということで、非常に小さなメタンガス発酵施設を家の地下に穴を掘って、その穴にふん尿を入れるという非常に簡易なもので、16万円ぐらいでできるようなものです。そういったものを個人でやっていたと。
そういったことをやっている中で、液肥を使って農作物をつくると非常においしいお米ができる、非常にいい農作物ができる。そんなことを実感した農家さんが、自分のところだけではなくて、ぜひ地域の中でやりたいということで、地域で手づくり、地域の間伐材によるコンパネとかポリエチレンシートを使った手づくりのバイオマスプラントをつくって、ボランティア3人で建設をして、100世帯分ぐらいを600万円ぐらいでできるんですけれども、そういったものを実験的につくった。それで成功したので、もうちょっと町単位でやろうという
取り組みをした。
最初は町単位でやるときにも、なかなか農家さんには理解が得られなくて、バイオマスの施設といっても廃棄物施設ですから、かつ農家にとっても液肥を使ったことのない農家さんにとってはそういった廃棄物施設ができるのは迷惑だということで、最初はなかなか理解は得られなかったんですけれども、実際液肥を使ってもらって非常においしい農作物ができるといった経験を通じることによって地域の農家さんもぜひやってみたいというふうな形になって、現在では町ぐるみの
仕組みとしてこのバイオマスの設備の普及が進んでいるというふうな状況です。でも、それでも10年間ぐらいの
取り組みの中で有機農家さん、NPOさん、自治体の連携によって進んできた
取り組みということであります。
それから、もう一つ御紹介したいんですが、これは鰺ヶ沢という青森の市民風車の
取り組みです。市民がお金を出し合って風車をつくるというふうな
取り組みは、北海道から始まって、いろいろな地域で始まっています。私自身が市民風車の
取り組みを見て一番おもしろいなと思っているのが、この青森の
取り組みであります。何がおもしろいかというと、単に市民風車だけではなくて、地域の農業と環境活動を支える市民風車になっているというところに非常に興味深く思っています。
この青森グリーンファンドですが、これは青森の
エネルギー関係者または市民関係者が研究会をつくって、青森でぜひ市民風車をつくろうという研究会が始まります。ちょうど鰺ヶ沢の方で新
エネルギービジョンをつくるとか、または風車の建設をするための風況調査をする
取り組みがあったことから、鰺ヶ沢で市民風車をつくりましょうという動きを始めました。
市民出資ですけれども、青森だけではなくて、東京とかすごく離れたところからも出資をしております。基本的には一口50万円の出資ということなんですけれども、こういった出資で、出資ですからグリーンファンドとして市民風車で発電した電気から得られた利益から配当が返ってくる。結構その利率もいいんです。普通の投資よりもかなりいい利率で返ってくるんですが、その配当を単に返すだけではなくて、この出資者の中で思いのある人はこの配当の一部を環境保全基金に出すということです。
例えば出資者が50万円自分の配当の中からこの環境保全基金に寄付します。とすれば、この青森グリーンファンド、NPOですけれども、彼らの利益の中から50万円寄付する。そして、鰺ヶ沢町も協力して、鰺ヶ沢町からも50万円協力するというようなマッチングファンドです。市民の思い、50万円がある意味3倍、150万円というふうなマッチングファンドとしてファンドがつくられる。このファンドは鰺ヶ沢町を中心とした地域のNPO活動に寄付がされるといった仕掛けです。出資者がファンドに出すかどうかというのは基本的に出資者に任されているというふうな状況であります。こういった市民出資と環境保全活動をつなげるというのが一つです。
それから、そういった活動をしながら、同時にこの青森グリーンファンドの中心になっている方と青森で青森の特産物を販売するといったビジネスをしている人たちが連携を始めました。この市民出資というのは青森だけではなくて東京等からの出資者が多い。そういう人たちにとって青森の特産物は非常に魅力的なんではないかということで、このあっぷるぴゅあという企業組合がその青森の地域の特産物の開発を行っていたわけなんですけれども、そこと連携をしてリンゴジュースとか、また青森特産の毛豆という豆、毛の生えた枝豆を風丸という名前をつけて、市民風車ブランドということで、単なるリンゴジュースではなくて、少しマークをつけて市民風車のブランドとして魅力のある製品化して、それを出資者に販売をすると。私も参加させていただいて、この毛豆を楽しませていただきましたけれども、こういった形で青森の農業も元気にしていくというふうな事業です。
これは一石四鳥のプロジェクトということで、
自然エネルギーを普及するということをしながら環境保全の基金で環境活動に支援をすると。それで、地域農業を支援する。そして、市民出資した人もこういったおいしい毛豆とかリンゴジュースを飲むだけではなくて、現地に行って市民風車を見てみたいということで結構皆さん来てくださるということで、都市と田園地域の交流ができるといった形です。これは青森のNPOと町と、青森のNPOと都会の市民との連携プロジェクトで、それぞれにとってメリットのある
取り組みになっています。
こういった
取り組み、
自然エネルギーを普及をしながら同時にその地域の環境、人、経済を元気にする活動というものが小さいながらも、CO2削減効果で見ればそれほど大きくないかもしれないけれども、ただ地域の人の満足度、地域の経済にとっては非常にプラスになるといった
取り組みが始まっています。
こういったものの特徴を見ていきますと、いろいろな地域の資源、地域の人、地域の知恵、地域の技術というものを発掘をして活用していると。地域の人が手づくりでバイオマスプラントをつくったり、地域にあるおいしい農産物を売ったり、そういった地域の資源を最大限に生かしていく。そういったことをしながら身の丈に合った技術、
仕組みということです。
もちろんハイレベルなテクノロジーを使うことも重要であります。ただ、その地域の人たちが主体となってやるためには、非常に高い技術は高い投資をかけてやる、非常にリスクが多い。そういった中で、自分たちが使える技術、野洲の場合は実際に使った
太陽光発電をみずからが設置をする、小川町の場合はみずからつくっていく。そういった形で身の丈に合った技術を使っていく。
そして、三つ目に参加者にとってそれぞれメリットがある仕掛けというのは徹底的に議論して編み出して、その地域に合った
仕組みをつくっていく。その中には、その過程には地域のいろいろな関係者、それはビジネスをやっている人、NPOの人、行政の人、さまざまな関係者がつながり合っていく。その中で新しい
取り組みが広がっていく。
こういった
仕組みづくりは非常に時間がかかるものでして、小川町でも10年かかっていますし、野洲でも二、三年の中で少しずつゆっくり、だけれども皆さんのアイデアで着実に成長を続けている
取り組みというものがあります。こういったものをいかに広げていけるかというのは、今後2050年に60%、80%広げるというときにはこういった仕掛けが広く広がっていくことというのは非常に重要なんではないかというふうに思っています。
こういった
仕組みを広げていくための施策としてどんなものがあり得るかということで、参考までに二つぐらい御紹介をしたいと思っています。
今三つ御紹介したものはどれもNPOが、地域の人たちが主体になっているものを行政が後押しをしているものであります。自発的に出てくればいいんですけれども、それを側方支援をするものとしてどういった政策があり得るかということなんですけれども、これは一つイギリスの事例であります。今からちょっと10年ほど前にはなるんですけれども、イギリスにいまして、イギリスでの地域活性化の施策をいろいろ勉強してきました。その中で、イギリスの中でも非常に成功している地域再生政策の手法であります。
こういったいろいろな名前で取り組んでいるんですけれども、手法として特徴なのは住民、自治体、企業等、複数の団体がパートナーシップ組織をつくると。それが前提となると。そういったものに対して支援をすると。その際に、ボトムアップ型によるプロジェクトの企画、実施ということなんですけれども、徹底した地域のニーズの把握ということで地域の住民が何を望んでいるのか、何が課題なのか、そんなことを徹底的に洗い出すと。それも予算を出してからも洗い出す。このSRBとかNew Deal For Communitiesという予算、特にNew Deal For Communitiesは10年間なんですけれども、最初の二、三年間ぐらいは事業をするということではなくて、地域の中で何が課題なのか、どういったことが問題なのか、またどんなことをできる人がいるんだろうかといったことを徹底的に洗い出すということをやって、その中から地域の関係者がやりたいことをつくり出すということの支援です。
そういったことを通じてコミュニティガバナンスという言葉、これは横文字ではあるんですけれども、地域の人たちが地域に対してのオーナーシップ、地域に対する愛着を感じて、自分たちで地域をよくしていこうという、そういった関心を呼び起こして地域の中で関係者がつながっていくといったことを構築していくことを支援をしていく。
活動としては、環境とか福祉とか経済、一つ一つのものだけではなくて、持続可能な開発ということで地域をよくすることに幅広く使うことができる。なるべく一つの活動で地域の環境保全にも地域の経済活性化にも資するような、そういった総合的な活動に支援をすると。
そして、なかなか日本では難しいことなんですけれども、一定期間中長期的な支援、このSRBというのは四、五年ですし、New Deal For Communitiesというのは日本でいうともう地域の町内会単位です、そういったところに対して10年間ぐらいの投資をして、長期的に支援をするというふうな仕掛けなんですけれども、そういった仕掛けで支援をしていると。
そういった事業の成果として出てきているものがソーシャルエコノミー、最近コミュニティビジネスとかソーシャルビジネスとか、また事業型NPOとか、そんな言葉が日本でも使われるようになっていますが、行政でも企業でもない新しいコミュニティビジネス。公益を追求しながら一定のビジネス活動を担うような、そういった新しい主体が非常にふえてきているというふうなことです。地域の中で地域の問題を解決するために何らかの事業活動をして、地域の人たちを雇用していく。そんなものが広がっていく。それをいろいろな関係者とパートナーシップで進めていくというものが広がっています。こういった手法というのも一つ参考にはなるんではないかというふうに思っています。
それからもう一つは、これは
環境省としてもことしから始めたばかりですので試行錯誤の中で進めているものでありますけれども、環境NGOのソーシャルビジネス化ということで、環境NGOは非常にたくさんのNGOがあるんですが、多くのNGOがまだ経済的に自立していない。自治体からの
補助金であるとか、また企業からの助成金に頼っている。それはそれでいいんですけれども、今後は何らかの事業活動をすることによってビジネスをしていく。先ほどのように
自然エネルギーを使って何らかの事業をしていく、そういった形に発展をして、新しい公を形成するセクターとして活躍してもらうということは
地域づくりに必要ではないか。そのためにはいろいろな関係者、NPOだけではなくて、専門家、自治体、企業、NPO、金融機関、さまざまな関係者がそれぞれの資源を出しながら一緒になって考えていく必要がある。
そういったことで、
環境省が始めているのは、その事業型NPOまたはソーシャルビジネスになりたいNGOに対して、いろいろな関係者と連携しながらどういった事業であれば地域社会に貢献しながら事業性を高めていけるのかということを支援をしていくと。その支援するのは
環境省の方で地球環境パートナーシッププラザとか地方環境パートナーシップオフィスというところを設置をしているんですけれども、そういったところが一緒になって伴走しながら支援をしていくというふうな仕掛けであります。
一つのイメージとしては、例えば里山の保全をしている団体があると。単に里山で竹林整備等のことをやっている。それはそれでいいんだけれども、なかなかそれだけではボランティア活動にとどまってしまうと。そういった段階で異セクターとつながることによっておもしろいビジネスができないか。例えば近くに大学があれば、そこのビジネス学部の学生と連携をして、竹を使ったおしゃれな商品ができないか。そういった商品を国内だけではなくて専門家のアドバイス、またウェブデザイナーの協力を得て海外にも発信できないか。または、観光庁と連携してホテルにこういった商品を置いてもらうと。そのホテル等の宿泊客に対して竹林整備プログラムというものを参加してもらうことによって、ホテルの新たなエコビジネスを提案をしながらこういった商品を売っているというふうな、これは本当のイメージですけれども、いろいろな関係者がつながることによって何らかのビジネスができないか。こういったことを日本の中でもモデルをつくっていくというふうなことを支援をしていきたいなというふうに思っています。
こんな形で地域の資源を生かしながら地域の環境と人、経済を活性化する、そんな事例が広がっているということと、それを支援するという観点から参考になりそうな施策について御紹介をさせていただきました。
仙台は私も何度か来させていただいたことがあるんですけれども、都市であるにもかかわらず海も山も豊かな自然環境が近くにいっぱいあって、NGO活動も非常に盛んで、きょうも午前中少し
市民活動の話を聞いたんですけれども、日本でも初めての
市民活動サポートセンターをつくられたほど非常に熱心なNGO活動が非常にたくさんある。そして、これまでも仙台市とNGOとさまざまな協働の
取り組みを実践されている。そういった先進的な
取り組みをされているところだと理解していますが、そういった中で東北地域のやはり中心都市として先進的な
取り組みを展開されていますし、今後もぜひ期待をしたいというふうに思っています。
そういった中で、NGO、行政、企業の方々がパートナーシップを組みながら、環境だけではなくて地域の経済、これも元気にするようなそういった
取り組みを行っていただければというふうに考えております。
私からは以上とさせていただきます。
3:
◯委員長 大変ありがとうございました。
それでは、皆様から御質問等がございましたらお願いしたいと思います。何か伺いたいこと、また感想なり。
4: ◯佐藤わか子委員 私の方から、済みません、32ページのこの小川町の広がりなんですけれども、最初は何か本当に5人家族ぐらいでやって、手づくりで100世帯分ぐらいの生ごみ処理をつくって、今はそれを町ぐるみでやられているということなんですが、実際どれぐらいの世帯数の生ごみ処理を今実際にやられているんでしょうか。今現在は。
5:
◯中島恵理参考人 ちょっとこの直近の話も私自身まだ取材はできていないんですけれども、小川町はそんなに大きくない町でして、仙台市は100万人ですけれども、小川町は多分10万人とか、この仙台市と比べれば10分の1以下の小さなところではあると思いますので、その中でなるべくたくさん参加していただく
仕組みに持っていこうとしているというふうに聞いています。
ですから、まず最初に100世帯から始めて1,000世帯にいき、1万世帯にいきという段階だと思いますけれども、そういった意味では少し小規模な
取り組み、今でも小規模な
取り組みであるというふうに言えるかと思います。
6: ◯佐藤わか子委員 実は有名なのは山形県長井市のレインボープランなんですが、あれはなかなか今ちょっと大変な行き詰まっている状況なので、やはり最初はそういうふうに広げていきたいというふうに思っても難しい部分というのはどうしても、回っていかない部分が出てきますよね。だから、ちょっとこの辺お伺いしたかったんですが。
7:
◯中島恵理参考人 そうですね。そういった趣旨では私もレインボープランの取材に行ったときにはあの施設だけでもう数千万円、数億円で、毎年数千万円かかるという大規模な施設をいきなりつくっていると。ただ、その過程に市民参加の過程はあったとは聞いているんですけれども、ただ、やはり一気に大きなものをやはりつくり過ぎたのかなという感じはしていて、小川町のものは本当に個人から始めて、100世帯から始めて1,000世帯にという、そういうゆっくりの過程を10年間費やしているということで、その過程の中で農家の方、市民の方の理解も非常に進んで、それぞれが協力しようとしてきていると。
こういった時間はかかるけれども小さなところからの出発というのは継続的な、かつ、行政がずっと負担し続けない持続的なモデルとしては、時間はかかるけれども一つの成功モデルなのかなというふうに思います。
8: ◯相沢和紀委員 二、三伺います。
一つは、
風力発電の関係なんですけれども、
太陽光発電でしたら家庭用のものもあって補助になっていますよね。ところが、
風力発電についての補助率というのはちょっと調べていなかったんですけれども、どの程度の補助があるのか、わかりましたら教えてください。
9:
◯中島恵理参考人 風力発電、個別の小さな家庭用のものは基本的に
補助金はなくて、
環境省が地域の中で協議機関をつくっていただければその協議会に対して
補助金を出すという
仕組みはあるんですけれども、あとは
風力発電の大規模なものです。数千キロワットぐらい、数万キロワットのものに対しては
経済産業省の
補助金が3分の1程度です。それぐらいはあるんですけれども、一般的な小規模なものは
補助金がないという状況です。その背景としては、小さなものだと発電効率も非常に悪いということもあってということではあるんですけれども。
10: ◯相沢和紀委員 それで、一時期
風力発電が広まったんです。ところが、発電容量というのは当然自然ですから波があって、思ったような出力が得られないということでとまっているのが一つと、もう一つは売電の値段が今ですと東北電力で通常1キロワット25円ぐらいなんですけれども、半分ぐらいしか発電した方に出ないということで、なかなか利益が上がらないというふうなことでとまっていると。逆に維持費がかかって大変だというふうなことがついているんですけれども、ことしだったか、その価格は少し引き上がったようなんですけれども、これについて、通産の関係もあるんでしょうけれども、
環境省として独自にこれを埋め合わせするとか、そういった考えはないんでしょうか。
11:
◯中島恵理参考人 私自身も
経済産業省のときRPS法という法律を担当していまして、それは今おっしゃった電力会社に義務づけをして、電力会社が量だけ設定されているという義務づけですので幾らで買うかというのは電力会社に任されていると。その結果として、
風力発電についてはキロワットアワー当たり、当初は11円だったのがだんだん下がって8円、7円、東北は風況もいいですからそれぐらいになっているという中で、大規模なものしか成立しないと。
そういった中で、
環境省として関心のあるのはドイツで普及をしている固定価格買い取り制度というもので、日本の量を設定するものだと価格は電力事業者が結局決めてしまうと。量がたくさん高い目標が設定されなければ安い値段になってしまうといった問題が生じてしまっているんですけれども、ドイツとかデンマークでは1キロワットアワー当たり11円にする、
太陽光発電の場合は1キロワットアワー当たり60円にするとか、そういった形で十分採算性がとれるレベルの価格を設定をして、その発電されたものはすべて電力会社が買い取らなくてはいけない、そういった義務づけがなされています。
自然エネルギーの関係のNGOも
環境省としても環境保全のことを考えれば固定価格買い取り制度の方がいいというふうに思っています。
そういったことで、昨年度もいろいろ議論をして、
太陽光発電については今まで23円ぐらいで買っていたものを倍にするというふうな形にして、実質固定価格です、そういった形にするということは合意されまして、それはもうすぐ始まります。ただ、それ以外のものについてはどうするかというのは今後の議論ですが、少し政権も変わって民主党は固定価格買い取り制度ということも言っていますので、そういった動きになれば
環境省としても積極的に
自然エネルギーを普及するような方向に制度としてはなるように情報を出していきたいというふうに思っています。
12: ◯相沢和紀委員 もう2点ほど伺います。
一つは、今補正予算の中でなったんですけれども、各学校のテレビの買いかえが予算に組まれました。今小学校、中学校に普通に入っているのは28型ぐらいのブラウン管式のテレビだというふうに思うんですけれども、国の補正予算、今度つくものは50型以上というふうな基準になってございます。同じ型であれば消費電力は30%ぐらい減るだろうと。しかし、型が28型が50型ということは2倍ですけれども画面上は4倍になりますから、出力からすれば多分1.5倍以上の消費電力になるんじゃないかというふうに思うんです。
そうしたときに、そういった政策、これは文部科学省の事業なのかもしれませんけれども、CO2削減、
エネルギー全体として見たときに50型以上でないと補助がききませんよと、こういうふうな予算のつけ方というのはいかがなものかなと思うんですが、実際にそういったことについてどのように考えますか。
13:
◯中島恵理参考人 確かに大型化しても古いものよりかは
省エネなものが多いということではありますが、ただし大型であればそれだけ
エネルギー使用量が多いというのは事実ですから、残念ながら
環境省がその予算をチェックする権限がないので1個1個はチェックはできないんですけれども、そういった形ではなくて、なるべくCO2削減になるようなものが補正予算としてもっと全体的にチェックができる
仕組みになっていけばいいなというふうに思います。
14: ◯相沢和紀委員 あともう1点、最後ですけれども、24ページと25ページに環境大臣が発表したという80%削減のための
ビジョンA、Bとあるんですけれども、これが人口の移動からすると集中型と拡散型というか、真逆のプランが出ているんです。簡単に言えば、だったらどっちでもいいんじゃないのと思ってしまうような真逆のパターンが出されるというのが、簡単に言えばどっちでもやるんだよというふうなことで、余り本気になって考えた中身じゃないんじゃないかというふうに私は思ったんですが、どうなんでしょう。
15:
◯中島恵理参考人 この趣旨は、これからいろいろな国民的な議論を引き起こすための出発点ということで、どちらが国民が望むのかとか、または技術的に可能なのかとか、そういったことを議論するためのたたき台ということで、私も個人的には
地域重視の方がいいなと思ってはいるんですけれども、いろいろな経済を活性化しなくてはいけない、いろいろな
技術開発もやらなくては、いろいろなセクターの方たちがいらっしゃるので、いろいろな道筋を見せながらどれをみんなが選択をしていくかというところの議論をしていきたいと。ただこちらがいいとか、あちらがいいというところを最初から決めつけるんではなくて、そこはいろいろな主体がそれぞれの
取り組みが必要になってきますので、そういった議論を巻き起こしたいという、そういう投げかけです。
ですから、どちらかではなくて、その組み合わせなのかもしれませんし、それについては
地域レベルも議論いただいて、そういうものを地域としてどういう方向に向かうのがいいのか。東京であればどうしても技術志向にならざるを得ないかもしれませんが、田園地域であればむしろ
自然志向の
ビジョンBの方かもしれませんので、地域によっても目指す方向は変わってくるのかもしれませんし、そういった投げかけというふうに理解していただければありがたいなというふうに思います。
16: ◯相沢和紀委員 ただ、現実問題として仙台なんかももう既にコンパクトシティというふうに打ち出して、なるべく中心部に、要するに30分通勤圏のところに人が張りつくように、当然道路の整備や交通網の整備によって距離は延びるかもしれないけれども、コンパクトシティ化というふうになっているわけです。今の宮城県全体を見た場合にも仙台集中というものがあるわけで、簡単に言えば農家の収入が減って暮らしていけないから、おじいちゃん、おばあちゃん、一緒に住もうかというふうになっています。そういう意味では
ビジョンAにもう既に移行している段階なわけです。
ところが、一方では、さっき森をきちっと整備してそこから価値を生み出すとかありますけれども、そういった農村、森林部分を持った山間部分がもう既に荒廃を来しているという状況の中で、もっとやはりそういうところに環境という点で、言うならばきちっと手当てをして、そこでも生活ができるような、決して農作物だけ、もしくは林業だけというんではなくて、やはり環境という部分での手当てというものがあることによって救われるんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
17:
◯中島恵理参考人 そうですね。御指摘のとおりだと思います。実際都会に資源が集中をして、田園地域の方では物も人も都会に出ていってしまっているという状況ですけれども、CO2を削減していこうと思うとその地域の自然をいかに守りながら地域を活性化していくかというところが必要だと思っていますので、そういったことを踏まえて
環境省も施策をしていきたいと思います。ぜひ仙台の方からも国の方に発信をしていただいて、地域ではこんな状況になっていて、こういう方向を目指すべきだというところをぜひ投げかけていただいて、今後の方向性を見定めていければなというふうに思います。
18: ◯鈴木繁雄委員 済みません、ちょっと具体的なことから離れて恐縮ですけれども御経歴を拝見をいたしましてちょっと御参考にいろいろ御意見、御感想を聞きたいところが。実は5ページの現在の
排出量は自然
吸収量の約2倍以上にも達していると。
排出量の
吸収量のバランスです。これで大変今
排出量の問題は排出を何とか抑えたいと、削減したいということでもうみんないろいろ御努力をされ、また頭を痛めているところですけれども、この自然
吸収量をどうやって維持していくかということも実は非常に大切なことだと思うんですけれども、ただ、そこで例えば日本の場合ですと
環境省が考えていること、あと
経済産業省が考えていること、国土交通省が考えていることが実はばらばらなんです。
例えば我々の仙台でいえば、田んぼとか、そういうような自然環境をどんどん壊してコンクリートの建物をどんどん建てていっているわけです。この辺到底、イギリスに結構いらっしゃったんで、英国ではこういうことはとても考えられないことだと思うんですけれども。例えば田園都市法であるとか、そういうことで畑をつぶして物置1軒建てるんだって英国では大変なことですよね。そうやって英国ではいわゆる生活スタイルというか、そういうものを、今先ほど相沢委員がおっしゃられたことも含むわけですけれども、そういう都市と農村のバランスです、こういうものをどうやってとっていくかというところのしっかりした思想なり、また法律というものは日本ではないわけです。
私も結構イギリスはいろいろ訪問させていただいて見てきましたけれども、本当に日本との違うところ、その辺の木1本に対する意識が日本人の意識とは全く違うのでびっくりしてしまっているんですけれども、この自然
吸収量をどうやって維持するか、またそれをふやしていくかということをどうも今の日本のまちづくりというか都市づくりというか、都市計画も含めて国土計画上もその辺がぜんぜんこの環境問題とどうもマッチングしてこないという感じを私は持っているんです。
感じで申し上げて申しわけございませんけれども、イギリスに留学されていて、また、そちらでは当たり前に環境とかなんかということと関係なく、伝統として英国では根づいている部分がかなりあると思うんです。そういうところでお勉強してこられて、将来日本がどうやっていくべきかと。今我々がやっている都市計画であるとか、まちづくりであるとか、これはどうもちょっと私も納得いかなくて困っているんですけれども、余り言うと世の中から遊離してしまうので、みんなに相手にされなくなってしまうので、だから、その辺をちょっと悩みながら、正直言ってどの程度言っていくべきかということを頭を痛めているんです。イギリスのお勉強をされてきた経験と、どうやっていったらいいか、ちょっと御感想を含めてお話をしていただければちょっとお話できるんじゃないかなと。せっかくですので。
19:
◯中島恵理参考人 日本の問題は本当に御指摘のとおりだと思っていまして、そもそも都市政策と環境保全とがなかなか両立しやすいような仕掛けにはなっていないと。国もそうですし、多分自治体でも部局が分かれていますので、その関係でイギリスの事例を申し上げますと、イギリスの場合は何らかの開発をする行為、それは非常に小さな行為、自分の家を少し改造するというものも含めて、大きな緑を開発するということも含めて、すべて基本的に許可が必要なんです。プランニング・パーミッション、許可が必要なんです。
そのとき非常に興味深いのは、許可を出すかというところを自治体の職員が決めるのではなくて、日本の場合であれば都市計画の開発許可は県であったり市がおろしたりということなんですけれども、そういった許可をおろす際に関係者が参加できる、それは開発をする人と、それからNGO、市民、第三者です。それも土地を持っている市民だけではなくて、環境を守りたい市民、だれでも参加することができるんです。それから、きょういらっしゃるような議会の議員さんたちです。または専門家が開発申請の案件に対して公開で議論すると。ですから、私も学生だったんですけれども、学生でも参加、傍聴することができるんです。そういった公の場で議論をして、開発するかどうかと議論する
仕組みがあると。
その際に、NGOも非常に力を持っていまして、この地域にはどういうところにどういうふうな貴重な生物がいるかとか、そういうマッピングをしているんです。そういう団体がいて、この地域ではこういうところは絶対守っていかなくてはいけないという地図を彼らはつくっているわけなんです。そういうところに開発をしたいという案件が出てくれば、この開発許可をするかどうかという委員会に出てきて、こういう根拠でここは非常に生態系上重要な地域だから守らなくてはいけないという、そういう意見の討論を皆さんの前でやるんです。
そういった市民参加の
仕組みがあるというところが一つ。そういった中で、NGOも単なる感情的な意見ではなくて、科学的な根拠を持ってここは重要な場所なんだという提案するといったプロセスがあるので、そこで無秩序な開発はとめるといったことがあります。
あとは、政策的には田園都市構想ということで、都市の周りには農地があるということが都市としても非常にいいということで、ハワードさんたちが提案した田園都市の構想があって、すべての都市ではないんですけれども、幾つかの都市でそういった構想があるので、なるべくまちはコンパクトに、その周りは田園なり自然で守るといったことが一つのまちづくりのベースにはなっています。
ただ、イギリスではそうはいっても最近郊外にいろいろな大きな大規模店舗ができて郊外に行くという感じにはなっているんですけれども、そういった基本的な構想があるのでまちのでき方がコンパクトなまちとそれに囲まれた施設地という形にはなっていると。それが無秩序に広がっていかないのはそういった市民参加型の
仕組みがあるからかなというのは思います。
ただ一方で、イギリスの自然はどんどん破壊され、既にもうほとんど二次的な自然で、原生林は残っていないんです。徹底的に破壊し尽くされて、なくなったからこそ何とか戻さなければいけないという状況でありまして、日本の自然の方がすごく豊かです。ですから、その豊かな自然をいかに守っていけるかというところに市民参加、パートナーシップという仕掛けは一つ有効な手段かなというふうに思います。ですから、ぜひ仙台型のモデルを、なかなかやはり国土交通省の
仕組みは市民参加の
取り組みも入れていますけれども、ぜひ何か仙台モデルを開発してもらえるとありがたいなというふうに思います。
20: ◯鈴木繁雄委員 これは
環境省で私はまだ出ていないと思うんですけれども、ちょっと不勉強なものですからわかりませんけれども、都市開発を行う場合にそこに今は工場とか企業に対して排出CO2の売買の契約ができるようにというような国際取引とか、いろいろなことも出ていますけれども、小さく我々の足元を見て、都市計画でまちをつくるとき、まちを開発するとき、私はそういう都市のCO2
排出量の売買とか、そういうものを私はやるべきじゃないかと思うんです。じゃないと、こういう一極集中の問題というのはいろいろあると思うんです。
ですから、東京があれだけの
エネルギーを消費しながら、それを供給しているのは全部我々地方なんです。地方はどんどん疲弊していくわけです。これはやはり都市間におけるCO2
排出量の負担というものに対する市民負担は私は賦課すべきだと思うんです。ですから、仙台は仙台で今度は宮城県のさまざまな町に対してとか、そういうところに対して仙台がいろいろなものをやるときには地方に対してその部分を負担をするとかなんか、いろいろな形はあると思いますけれども、それは今は税金でしかないんです。税でしかやっていませんけれども、これは固定資産税の問題であるとか市民税とか県民税とか、いろいろな問題はありますけれども、そういうところで調整はある程度先人はされました。これは環境というものが問題になる前の時代の税制なんです。
今はやはりこの環境というものをCO2をどうやっていくかという、その都市で出しているCO2の
排出量は民の
排出量というのはすごいと思うんです。ここにも書いてありますけれども、それをどうやって我々はちゃんと負担をしていくかということを、やはりこれは早急に私は
環境省で何らかのものを打ち出していただきたいというふうにしませんと、単なる目先の経済の尺度だけでの反映を求めるアジア型の開発をせざるを得ないのが現実なんです。ですから、これをどうやってやっていくかというのは今後やはり
環境省は大いに頑張っていただきたいんです。
やはり、私は英国の、今おっしゃられたように英国は一度は木を全部切りました。それで今の英国があると思うんですけれども、ヨーロッパも同じだと思うんです。一度全部木を切ってしまったがために石の文化になったわけで、もともとは木の文化だったわけですけれども。
そういう歴史はありますけれども、やはりヨーロッパはそういうことで、彼らは一度そういう失敗というか、一つの歴史を踏んででき上がった。日本はまだそういう経験をしていませんから第一ステージで今苦労しているんだと思いますけれども、やはり
環境省の思い切ったそういうものを打ち出していただかないと、まちづくりの中で地方と中央との格差の問題であるとか環境破壊がどこから環境破壊が来ているかということ。経済バランスだけから来てしまうと、思想的なものは全然育たないというところはそういうところにも私はあるんじゃないかと思うんで、ぜひそういうところで
環境省の都市の排出CO2に対する負担とこれの売買というか、やったりとったりという、そういうようなことまで踏み込んだ御研究をぜひやっていただきたいと、お願いしたいと思います。
21:
◯中島恵理参考人 本当に御指摘のとおりだと思います。
関連する事業として、今長野県の飯田市と新宿区の方で
カーボン・
オフセットの事業をすると、
環境省も支援するという、そういった都市間のです。それは長野県の飯田市で間伐とか森林保全の
取り組みをすると。それに対して新宿区民も実際行ってお手伝いをするとともにお金を出すと。そこで減らしたCO2を新宿区が減らしたものとするというふうな地域間連携です。そういったものがちょこちょこ出てきていまして、
環境省もそういったモデルに対して応援をしようということで始めています。
ですから、御指摘のとおり都会では資源も使い、
エネルギーも使い、そして田園地域では人はどんどん都会に行ってしまうと。そういった田園地域に負担をかけながら都会での便利な生活をしていますから、そういった都会の責任として田園地域とパートナーシップを組んで、それぞれがメリットがあるような
取り組みをしていくということを支援をしていくのは非常に必要だと思っていますので、そういった中での
カーボン・
オフセットとか
排出量取引というものをぜひ応援していくことが御指摘のとおり重要だと思っていますし、これからも
仕組みとして普及できればなというふうに思います。
22: ◯鈴木繁雄委員 それは民主党政権のもとでしっかりとひとつ。
23: ◯高見のり子委員 中島さんにはちょっと質問というよりは感想みたいになってしまうんですけれども、まず、CO2削減と言った場合に、やはり全体の8割以上が大企業、直接
排出量ですけれども企業活動によるもので、発電所では33.4%、それから大型の工場で29.8%、そのほか運輸、自動車、船舶で18.5%、その他が13.5%というような感じで、結局8割以上が企業活動によるものだということはまず一つは明らかにしなくてはならないんじゃないかなというふうに思うんです。
確かに市民の協力とか市民が環境に対して関心を持っていくということはやはり大変に重要なことであると思いますけれども、やはりその点はひとつ明らかにして、そこの削減というものを本当にきちんとしていかなければ、これはCO2削減は成功はしないんじゃないかと。
そういうところで、今国がやっている
エコポイント制も農産物なんかの
エコポイントとかであればいいんですけれども、例えばテレビなり冷蔵庫なりというような物を買う、消費をさらに拡大するような形のそういう制度というのはどうなのかなというふうに思いますし、あと、
排出量の取引制度についても結局排出することを減らさなければ意味がないことであって、全体量が減らなければ意味がないのであって、やはり本来であればどうしたら減らせるかというところの手当てが非常に大事なんじゃないかなというふうにまず思います。
その上で、きょうのお話の後半のところでは本当に大変参考になったんですけれども、やはり住んでいる人がまずいて、それで地域があって、そこから出発するんだということが結局環境にかかわっていく、経済にかかわっていくというお話は非常にこれからの人間の生き方といいますか、そこにもかかわる大変いい参考事例だったなというふうに思います。本当に仙台はまだまだ自然が、先ほどお話しされたように自然が豊かですし、そしてまた市民力も大変高い都市ですので、やはりそういう利点を生かした環境施策というものが仙台はもっともっといろいろなことができるんじゃないかなというふうに思いました。
質問は当局の方にぜひちょっとお聞きしたいんですけれども、先生のお話のあった環境産業、地域活性化にもつながるソーシャルビジネスやコミュニティビジネス、こういう観点での
環境局としての考え方というか、
取り組み、これから何か考えていることとか、そういうものが仙台ではあるのかなということをちょっとお尋ねしたいと思ったんですけれども。
24:
◯委員長 当局に対します御質問はこれを1回締めてからしたいと思いますので。よろしいですか。
25: ◯高見のり子委員 わかりました。
26:
◯委員長 では、今
中島補佐に対しての質問とか、またいろいろ聞きたいこととか。よろしいでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
27:
◯委員長 それでは、ここで
中島補佐のお話は終了いたします。
中島補佐には本当に大変貴重なお話をたくさんいただきまして、ありがとうございました。
本日お伺いしましたお話は、今後当委員会の調査を進める上において大変参考になるものと思っております。
きょうは本当に遠くから、東京から大変にありがとうございました。
28:
◯中島恵理参考人 貴重な機会をどうもありがとうございました。
29:
◯委員長 中島補佐には以上で御退席をお願いして、皆様で拍手でお送りしたいと思います。(拍手)
〔中島恵理参考人退席〕
30:
◯委員長 それでは、ただいまの有識者からの
意見聴取を踏まえまして、この際皆様から御発言や当局に確認しておきたい点などありましたらお願いいたします。
今方の高見委員の御質問に対してよろしくお願いします。
31: ◯環境部長 ただいま環境産業の育成、それから環境と経済の好循環をどういうふうにつくっていくかというお話だと思いますが、それについてはもちろん仙台市としても十分考えていかなくてはいけないと思います。それは廃棄物だけではなくて、新しい技術、あるいは農業面でありますとか、そういった面でも先ほど補佐の方からお話あったようなことで、地元の産業と仙台市の環境対策というものを結びつけていかなくてはいけないというふうに考えております。
仙台市では経済局の方で、御承知かもしれませんが、環境産業の育成ということも掲げておりまして、それで環境に関する起業でありますとか、それから、東北大学あるいは地元の大学と地域の
中小企業の方々で持っている技術をうまく利用して、そして環境技術を向上させて、それが製品になり得るようなものにしていこうという動きはございます。
ただ、御承知のとおり、なかなかそれが売れるものとしてきちっと製品になっていくというのはなかなか難しいところがございますが、例えば今皆様のところにあるような照明です。それが最近はLED照明、通常の蛍光灯の2分の1ぐらいの消費電力でなされるものが地元で開発されまして、そして、そういったものを今後普及させていきましょうということで、経済局の方とも、あるいは区役所の方とも連携をとって、試験的に取りつけてその効果を見るとかいうこともやり始めております。
そのほか、細かい技術ではさまざまございますが、これから大きく動きだしていくということだと思いますが、いずれにしましても、やはり最初のスタートアップの時期は技術が安定しないとか、それから費用が非常にかかる。数がたくさん売れないとどうしても安くならないということがございますので、やはりそれは行政でありますとか、それから大きな企業がそういったものを導入しまして、
太陽光発電等と同じようにたくさん普及をさせるような呼び水の役目もしなくてはいけないんだろうかと思っております。
それには若干リスクも伴いますが、それは市民の方々あるいは事業者の方々、そして役所のリーダーシップでもってそういったものを普及させることによって価格を安くしていく、しかもよりよいものを生み出していくということが必要でございますので、私どもはこれから、まだまだ今まで足りなかった部分も含めまして、経済局等とも連携しながら、また県の方とも連携しながらそういったことを進めてまいりたいというふうに思っております。
ただ、あと、そういったことに対してまだまだ私どもの動きが足りないということについてはまた議員の皆さんで御議論いただきまして、実際にはかなり細々したところでいろいろな障壁が出てきます、いろいろな問題が出てきます。役所だけで解決できない問題も出てきますので、その辺はいろいろお力をかしていただきたいというふうに思っております。
32: ◯高見のり子委員 今のお話の中には、やはり仙台の特性を生かした地域活性化も含めた環境産業という考え方はまだまだ不足しているのかなとちょっと感想を持ったんですけれども、やはり先ほども中島さんのお話もあったように、人がいて、地域があって、コミュニティーが発達して、その中でそこで地域で必要なものは何かと出たときに、それが産業に結びついて、それが環境もよくしていけるようなものにつながるということがこの環境産業、ソーシャルビジネスとかコミュニティビジネスなのかなと私は感想を持ったんですが、そのためには時間も確かに、人を育てたり、コミュニティーを育てるという基本のところで大分時間が必要なんだろうなというふうに思うんです。
ですから、すぐに形あるものとならなくとも、例えば農村部と隣接している住宅団地とかあったときに、例えば農村部で野菜をつくる、住宅の生ごみがその農村部に行って、それがまたおいしい食べ物として返ってくるような、そういう産業というか、そういうものが先ほどの中島さんの事例の一つだったんじゃないかなと思いますし、そういうことができる環境が仙台にはあるんじゃないかなと思うんです。
ですから、そういう人の育成も含めた、少し時間はかかるかもしれないんだけれども、やはり環境の問題を共有の問題にしながら、その中で地域で循環できるような産業に育てていくというか、そういう仕事起こしをしていくとか、そういう発想というものがやはり必要なんじゃないかなというふうに思いましたので、きょうのお話も参考にしながら今後さらに検討していただきたいと思います。
33: ◯環境部長 ただいまの高見委員のお話は十分よくわかりますが、多分仙台市で今取り組んでいるもので、例えば家庭の生ごみを堆肥化していただいたものを市民センターとか、それからこの役所の前の広場にお持ちいただいて、1キログラム当たり大体100円相当の野菜と交換していただくということとか、それから、それを
ポイントにして野菜と交換するというような事業は既に行っておりまして、大変関心の高い市民の方々、またはごみ有料化というものと相まって非常に多くの市民の方々に堆肥を提供していただいて、それが農家の方で使われるというようなことが現に今なされております。
こういった運動をもっと広く大きくということではあると思うんですが、それはただ一つでありまして、もっといろいろなことをやっていかなくてはいけないとは思いますが、ただ、きょうは調査特別委員会でございますので、委員の方々の方で議論いただいて、我々の方に対してどういうことを提案いただけるのかも含めまして御議論いただければというふうに思います。
34: ◯鈴木繁雄委員 さっきちょっと私は都市排出のCO2の話を前にもちょっとしたことがあるけれども、これは当局なんかできるわけないんで、そういうものをやはり考えるべきじゃないかというふうに当局がやはり考えてほしいと思うんです。これはやはり、それこそ大学の方の協力とか、いろいろな大きな問題というか、難しいといえば難しいんだけれども、やろうと思ったらやれないことはないんです。
だから、私は非常に先進的に仙台市が取り組んでほしいのは、例えば今度この間都市計画審議会で私は大反対したんだけれども、結局反対するとまた孤立してしまって、それでだめになってしまうからもうしようがなくて、だけれども審議会だからいいとか悪いとかやるところじゃないんだとかなんか言われてしまって押し切られてしまったけれども、例えば六丁の目の方でだーんと開発するんでしょう。あのまちを開発する場合に、都市計画審議会に出すときに、このまちをそういうふうにこういう計画を立ててやるというんだったら、そのまちはどれだけのCO2が排出されるかというような計算ぐらい私は出すべきだと思うんです。大ざっぱなもので。
それで、結局遠くに、ああいうところにつくれば人が今度往来するわけでしょう。それに対する大体平均的な人の移動量とか車の量とか計算すれば、そういうものをつくるとこれだけのCO2が排出されるんだということで、例えばそこは地下鉄が来るから実は地下鉄が来るために普通のまちよりは30%CO2は削減されるんだとか、そういうようなことというのは見えるようにしないといけないんじゃないかと思うんで、そういう研究を私は東北大学とかなんか、そういうところと研究をしていただけないかみたいな、やろうじゃないかとか、まちづくりにそういうものを当然やはり今後は入れていこうとか、何かそんなようなことを仙台市としてやったらいいんじゃないかなと思うんだけれども、どんなものだろう。そういうこと。委員会じゃないから。特別委員会だから。聞き込みじゃないから。
35: ◯環境局長 実は私も4月に
環境局に来て、その話を局内で今やっております。特に、ことしの後半、10月からいよいよ新しい環境基本計画、杜の都環境プランの改定に入ります。その際の中で一つの柱として掲げていますのは、当然CO2を中心とする
地球温暖化ガスの排出抑制を市役所自身また仙台市民にどのようにしてやってもらうのかという施策体系でございます。
そうしますと、私たちの行政活動、民間の事業活動をCO2の
排出量に還元して、いかにそれを減らしていくかということをぜひ環境プラン、基本計画づくりの中で検討していきたいですし、委員御指摘のように税制の問題、それから都市計画制度、都市政策全体の問題になりますけれども、仙台市は本当に大枚の投資をして南北線に次いで地下鉄東西線をつくるまちでございますので、そういった意味では平成27年の開業というものも目前に迫っておりますけれども、まさにそういったものを活用しながらCO2削減をどう具体的に展開するのか。言うなれば、その開発の件もありますけれども、例えば車の流入抑制策とか、審議会の中ではこれからの約1年半真剣に検討し、まずは一つ試論というか、試みの案を委員御指摘のように東北大の力もかりながら少し展開してまいりたいと思いますので、その辺少々お待ちいただければと思います。
36: ◯鈴木繁雄委員 いいですね。それで、これはCO2のそういう計算、今まちがどれだけのあれをしているかということをぜひ研究してほしい。
そして、今まではまちづくりとか都市計画とかなんかというのは国土交通省もしくは仙台でいえば都市整備局とかが主導者だったんです。これはこれからは違います。これからは
環境局が中心になってまちをデザインしていかなくてはいけない、そういう時代に来ていると私は思うんです。では、どこから手をつけていいかというとなかなか私は学者でもないしわからないんだけれども、そういうことをやはりみんなで考えていこうという時代が私は、また、そのためにこの特別委員会を我々もつくったわけで、そういうことをぜひ。
その中で、少々情緒的になるけれども、ぜひ情緒的な部分も織り込んでほしいと思うんです。それは、例えば定禅寺通のケヤキの並木は実はどれだけ環境に、これはガスが出ていかない
マイナス面もあるけれども、例えばあれの葉っぱの面積は全部で何万平方キロメートルあるかというのは大体わかるはずなんです。1本の葉っぱが何万枚ついているかで。それにおける温度の低下とか、あといろいろな気化熱の低下であるとか、いろいろな問題が計算できると思うんです。
要するに、あのケヤキの1本を植えることによって実はこれだけの都市熱の低下とそういう気化熱の低下とか、あといわゆる木陰から来るさまざまな効用であるとか、それで私も昔から木陰率というものをやれとかと言って、だれも相手にしてくれないけれども、そういうようなことも少し情緒的なものも入れながら、実は科学で裏づけされたようなものから来る情緒的なものを入れながら仙台の環境計画というものを立案されたらいいんじゃないかなというふうに思いますんで、ぜひひとつ、勝手なことばかり言っているけれども、勝手じゃないことを言うのが特別委員会だから。ひとつそんなこともいろいろ皆さんで議論していただきたいなというふうに思います。
37:
◯委員長 ほかによろしいでしょうか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
38:
◯委員長 それでは、次に次回の委員会についてですが、10月16日の金曜日午後1時から開催いたしたいと考えております。本日の有識者からのお話を踏まえ、実際に地域における
市民活動などに携わっている方をお招きして
意見聴取を行いたいと考えておりますが、その方の人選については正副委員長に御一任いただきたいと思います。
次回の委員会についてはこのようなことでよろしいでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
39:
◯委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
それでは、次回の委員会に向けて皆様から資料請求等はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
40:
◯委員長 なければ、そのほか皆様から何か御発言等ございましたらお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
41:
◯委員長 なければ、以上で
地球温暖化防止等調査特別委員会を閉会いたします。...